読書の記録① 息吹 テッド・チャン

おはようございます。四柱推命家の猫先生です。

 

 

読書の記録①ほんのり、ネタバレあります。

タイトル 息吹

著者   テッド・チャン

 

息吹

息吹

 

 

 

 

SF短編小説集。

この本を手に取ったきっかけは、健康や食生活で参考にしているパレオさんのブログ。

タイトルに採用された「息吹」は圧巻です。

読んでいると、頭の中にイメージが湧いたのが、プロパンガスの交換。

プロパンガスのような存在(動物やAIとも違う)たち。

地球外生命体!?同時代に生きているのか、過去や未来の話なのか。

ボンベ?交換で集まる生態?があり、それが囲炉裏端会議的だったり。

囲炉裏端会議をするということは、このプロパンガスのような存在?にも感情がありそう。

サイエンスとファンタジー斜め上を行く前提。

にも関わらず、まるで学者の本を読んでいるようで、

小説なのに事実を分析している錯覚に陥るストーリーでした。

 

 

 

商人と錬金術

この短編集の中で、私が一番好きなのは1話目の「商人と錬金術師」です。

どこでもドアみたいな「門」で過去と現在を行き来する話。

SFものをほぼ読まない私は「未来」というと

子供の頃漫画で読んだ、ドラえもんセワシ君が生きる世界をイメージします。

空に自動車のようなものがビュンビュンと飛んでいて

宇宙船みたいな家が建っている。

 

 

 

ところが、この商人と錬金術師の話の舞台は中東です。

カフタン(民族衣装)をきて、長いモシャモシャのひげを蓄えているであろう男たちが登場人物。

どこでもドアが技術的に開発できているかもしれない=未来のイメージと、

この短編の世界のイメージのギャップに、ワクワクします。

そこで、私自身のバイアスに気づいたわけです。

カフタンを着た人=未来的ではない

というバイアス。

人間って、自分のイメージのフィルターを通して世界を見てますね。

 

 

 

過去も現在も未来も、変わらない

どこでもドアのような機能を果たす門の前で、

過去へ行ってきた 男女のストーリーを語る、錬金術師。

このストーリーが面白くて、もっと読みたい、と思ったが、

この短編、短い。あっという間。 

 

 

 

自分にとって「節目」となるポイントへ戻り、

〜もし、あの時、別の選択肢を選んでいれば・・・

というストーリーではない。

 

 

 

錬金術師の元で、「門」をくぐり、

歳を取った自分(現在の自分)が過去へ出かけていく。

そこで、若い自分が生きる世界の登場人物となり、

結構かかわっちゃうけど、未来(現在)は変わらない。

大富豪になった人は、相変わらず大富豪。

大成功を収め損ねた人は、収め損ねたまま。

人生のやり直しができる、ような話にはならないのが、このストーリー。

 

 

 

その門(タイムマシン的なもの)で過去へ旅することで、

自分の通ってきた道、過去から未来へ生きてきた軌跡の意味を実感することになる。

大富豪になった人は、そうなる理由がある。

自然な流れで大富豪へGO。無理してない。

生き様に抗わない。

 

 

 

生き様を受け入れる

四柱推命を使っている私は、「生き様を受け入れるとは」と考える機会が多い。

しんどい相談事を抱える人は、生き様に逆らいがち。

例えば、穏やかなライフスタイルが合っているのに、

大きなことを成し遂げたい欲にかられ、

人生空回りしっぱなし、とか。

無理したって、生き様は変えられない。

受け入れたら、人生はスルスルと好転していくのに。

 

 

 

商人と錬金術師はタイムマシンと中東という

未来的かつエキゾチックな風味で

生き様は変わらない=変えられない、を味わえる物語でした。